真田丸・第12回「人質」(6) 大名が民の訴えを直に聞くなど聞いたことがないのは事実なのか?

上杉景勝の元に、揉め事の解決を訴えに来た漁師たち。 真田丸
上杉景勝の元に、揉め事の解決を訴えに来た漁師たち。




「大名が民の訴えを直に聞くなど聞いたことがない。景勝殿は、身分で別け隔てをされないお方のようだ」真田信繁 真田丸
大名が民の訴えを直に聞くなど聞いたことがない。景勝殿は、身分で別け隔てをされないお方のようだ」

これには、信繁も感動した様子。


「総代(そうだい)のものはついてまいれ」奉行 真田丸
総代(そうだい)のものはついてまいれ」

【総代】
団体・集団にかかわる者全ての代表もしくは代理となる者。


「何卒、お願い致します!!」漁師 真田丸
「何卒、お願い致します!!」

信繁がこっそり覗きに行くと、実際に景勝が漁師たちの話を直接聞いていますね。


「双方の言い分はわかった。吟味(ぎんみ)の上、早々に良い答えを出すことにしよう。」上杉景勝 真田丸
双方の言い分はわかった。吟味(ぎんみ)の上、早々に良い答えを出すことにしよう。」

【吟味】

事件の事実関係を明らかにすること。
現代ではそこから転じて、よくよく調べて判断するといった意味になっていますね。
最近では、事件の調査を吟味と呼ぶところを聞いたことがありません。
むしろ「味吟味」など、本来の使い方とは違う使い方の方が多いようです。


「沙汰がでるまで、大人しく待っておれ」直江兼続 真田丸
沙汰がでるまで、大人しく待っておれ」

【沙汰(さた)】
物事の善悪・是非などを論じ定めること。
最近では「問題となるような事件。その是非が問われるような行為」の方で使われる方が多いですね。
裁判沙汰・警察沙汰・色恋沙汰など。





【うんちく解説:戦国時代の裁判事情】
戦国時代モノのドラマでも珍しい、民事裁判が取り上げられたお話。 真田丸
戦国時代モノのドラマでも珍しい、民事裁判が取り上げられたお話。
個人的には、非常に良いテーマだと思いましたね。
それはさておき、戦国時代の裁判を考えるについて、現代の我々が知っておくべきことが一つあります。


「家康もこれまでか・・・」北条氏政 真田丸
それは、大名というものは、本来単なる地主の大きくなったモノであり、現代人の我々が考えるような国ではないということ。


司法・立法・行政
それでは国とはなにか?ということになると、現代社会でも習った司法・立法・行政の三つと、それに軍事が基本です。
法律用語で言うと難しいのですが、ようは・・・


国会
【立法】
ルールを決める


市役所
【行政】
ルールに基づいて、国民にサービスをする
または治安維持のための警察


裁判所
【司法】
ルールに基づいて、揉め事を解決する
裁判所など

ということ。
この3つは、政府が国を治めていく上での原則でもありますし、国民に対するサービスという一面もあるわけです。


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これだけのサービスをしてあげるのだから、税金を払いなさい、というのが現代社会の基本的な国家のあり方です。


「沼田の件、ひとつよしなに・・・」徳川家康 真田丸
しかし、大名を含めて、武士というのは、地主という側面があるということが重要です。


マンション
今でもマンション経営をしている地主さんなどもおられますが、司法・立法・行政などは当然行っていませんよね?
戦国大名の立ち位置は、基本的には、このマンションオーナーと一緒なわけです。



そもそも民衆の裁判を判決する義務はありません 真田丸
というわけで、大名は、そもそも民衆の裁判を判決する義務はありませんし、もっと言えば、警察のように犯罪者を逮捕する必要もありません。


武家諸法度
例えば、戦国時代にも、大名が法律を作ることはありましたが、基本は家来である武士に対するルールです。
民衆に対するルールもありましたが、どちらかというと、納税に対する負担についてのルールがほとんどです。


「丘の上にいる敵を下から攻めるのは愚か者の兵法だ」 真田信繁
そういうわけで、今ならば民事裁判で解決するような揉め事は、結局、暴力に訴えるしか無いわけですね。


領地内で揉め事が起きてばかり 真田丸
とはいえ、領地内で揉め事が起きてばかりだと、その領地内の年貢が収入の大名にとってもマイナスになることであるので、ある程度は裁判に似たようなことはしていたようです。
しかし、基本はあくまで、自己解決。
現在なら警察が総力を挙げて捜査する殺人事件なども、自分たちで調査するしか無かったわけですね。



この民衆軽視の武士の性格は、武士として天下を取って政府を作った徳川家康にも引き継がれていきます。
時代劇で、銭形平次のような十手(じゅって)持ちが調査している様子を見たことはないでしょうか?
彼らは武士ではありません。
武士で無いものに、十手を与えて(※今で言うと警察手帳を渡したようなもの)、なにか事件があれば解決させていたわけですね。


遠山の金さん
遠山の金さんのように、武士として事件に関わる人もいるにはいましたが、人口に対して、圧倒的に人数が少なく、基本は民間委託の十手持ちが捜査したというわけですね。


「大名が民の訴えを直に聞くなど聞いたことがない。景勝殿は、身分で別け隔てをされないお方のようだ」真田信繁 真田丸
「大名が民の訴えを直に聞くなど聞いたことがない。景勝殿は、身分で別け隔てをされないお方のようだ」

と信繁が言っている理由は、こういうわけなのでした。

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