真田丸・第30回「黄昏」(2)秀吉が欲しかったのは積み荷じゃなかった?そんなに単純な話ではないサン・フェリペ号事件

「漂着した船は、イスパニアのサン・フェリペ丸。先月の28日に嵐にあい、土佐に漂着。長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)の命により、浦戸湾に廻送されましてございます」片桐且元 真田丸
「漂着した船は、イスパニアのサン・フェリペ丸。先月の28日に嵐にあい、土佐に漂着。長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)の命により、浦戸湾に廻送されましてございます」

今回、ドラマでは珍しく描かれたのは、サン・フェリペ号事件と呼ばれるものです。
まずは、ドラマで描かれた様子を振り返っていきましょう。
片桐且元が言うように、サン・フェリペ号は、嵐にあって土佐に漂着しました。



※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」の長宗我部元親
片桐且元が「長宗我部元親の命により」と言っていますが、長宗我部元親は土佐の大名です。
たまたま船が土佐に漂着したので、土佐の大名だった元親が指示を出したというだけの話。
※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」の長宗我部元親



「当然、その船の積荷はワシのものと思ってよいのだな」豊臣秀吉 真田丸
「当然、その船の積荷はワシのものと思ってよいのだな」

どうして秀吉が「当然」と思ったのかは謎です(笑)
この時代でも、船の故障で漂着したとしても、船の積荷は船の持ち主のモノです。
ただし、船の乗組員が全員死んている場合は、漂着された側の領主が貰ってもいいという風習はあったようです。


「罪があれば良いのだな」豊臣秀吉 真田丸
「罪があれば良いのだな」

「なんの罪も無いのに積み荷をとりあげるのはいかがなものか」と信繁が忠告すると、売り言葉に買い言葉で「罪があれば良いのだな」と言い出す秀吉(汗)


「バテレン追放令。あれを使おう。なにゆえバテレン共は京や大阪に残っておる。奴らを全て捕らえろ。どうだ良い案だろ」豊臣秀吉 真田丸
バテレン追放令。あれを使おう。なにゆえバテレン共は京や大阪に残っておる。奴らを全て捕らえろ。どうだ良い案だろ」

ここでバテレン追放令を持ち出しました。
ブログでは何度か触れているこのバテレン追放令ですが、ここで改めて解説いたします。



※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」のルイス・フロイス
まずバテレンとは神父のことです。
真田丸・第28回「受難」で豊臣秀次の娘たかがパードレが届けてくれました」と言っていましたが、パードレもバテレンも発音の問題だけで、同じ意味です。
※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」のルイス・フロイス

【関連する過去記事】
真田丸・第28回「受難」(6)豊臣秀次が聖母マリアの絵画を大切にしている理由





「徳川殿を要(かなめ)とした、大名たちの合議で進めていって欲しい」豊臣秀吉 真田丸
そもそも秀吉がバテレン追放令を出した理由は、キリスト教が布教された地域で、土地の一部がイエズス会に寄付されていたり、そのイエズス会の土地が要塞化したいたことが原因と言われています。


フランシスコ・ザビエル 真田丸
イエズス会とは、キリスト教を広めるための組織です。
教科書にも出てきたフランシスコ・サビエルが創始者の一人。
名前は覚えていなくとも、この衝撃的な髪型は覚えている人は多いはず(笑)
それはともかく、日本の支配者としては、勝手に土地がキリスト教のモノになったり、そこに城を築いて人の出入りを禁じたりすることは許せるものではありません。
そこで1587年にバテレン追放令を出したのであります。
今回のサン・フェリペ事件が起こるのが1596年ですので、実に10年近く前に出した指示です。
ただし、この命令は徹底されませんでした。


バテレン 真田丸
このドラマでも、ガラシャ様が祈る細川屋敷で、しっかりバテレンがいますね。
それというのも、バテレンを本当に追い出してしまうと、南蛮貿易に支障が出るからです。
南蛮とはポルトガルなどヨーロッパのこと。
彼らと貿易することは、その宗教であるキリスト教の布教を許すこととセットだったのです。
貿易というのは儲かるものですので、秀吉としてはキリスト教を禁じたいけども、完全に禁じてしまうと貿易が出来ないという問題があったのです。


「バテレン追放令。あれを使おう。なにゆえバテレン共は京や大阪に残っておる。奴らを全て捕らえろ。どうだ良い案だろ」豊臣秀吉 真田丸
「バテレン追放令。あれを使おう」

さて、話を戻します。
つまり、秀吉は10年も昔に出した、不徹底な命令を今更持ちだしたということになります。
それも積み荷が欲しいという理由だけで・・・。
しかし、このシナリオは少し秀吉が可哀想というもの。


フランシスコ吉蔵 真田丸
ドラマではキリスト教徒たちを一方的な被害者。
いい人達で描いています。
キリスト教を信じる信仰心。
それに対する熱意。
それ自体は真実だと思うのですが、当時の宣教師やキリスト教の組織、そしてそれに関係するポルトガルなどの国の思惑は、それほど純粋無垢とは言えないのです。



※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」のルイス・フロイス
そもそも宗教を広めたいという気持ちが純粋であっても、資金が無いと、遠い国に旅立つことが出来ません。
そこで、宣教師たちは商人たちと結託しました。
商人たちに布教の資金を出させる代わりに、宣教師たちは商人に協力していたのです。
日本史を語る上で、第一級の資料と言えるのが、この宣教師たちの書いた報告書。
例えば、ルイス・フロイスは「日本史」という著者を書いています。
こういった詳細な報告書を作る理由の一つは、商人たちの商売がスムーズに行われることを目的としたものであることは間違いありません。
といのも、ここでこういう商品を扱った方がいいとか、ここに貿易の拠点を作るといいとか、およそ布教には関係の無い内容が含まれているからです。
※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」のルイス・フロイス


キリスト教 
日本をキリスト教組織の支配下に置こうとしていたとか、スペインが日本を占領しようとしていたとか、そういう話まであります。
そこまでいくと確証のある話ではないのですが、実際に一部の土地が勝手に寄付されていた事実があり、そこが要塞化していたという事実もあります。
寄付をしたのは信者の勝手としても、イエズス会が受け取ったのは事実ですし、要塞化するというのはお金がかかることですから、誰かかお金を出して、誰かが働いてやったことです。
秀吉が危機感を持つのも無理は無いことでしょう。


サン・フェリペ号
そんな時に起こったのが、今回のサン・フェリペ事件。
しかも、この時に一部のポルトガル人が重大な密告をしたそうです。
「スペイン人は武力制圧をするための偵察で日本に来た」というのです。
話がややこしいですが、これまで南蛮貿易と言っていましたが、主体となる国はポルトガルでした。
ところが、この頃になると、スペインの船も日本周辺に乗り出してきていたのです。
片桐且元が「漂着した船は、イスパニアのサン・フェリペ丸」と言っていましたが、イスパニアはスペインのこと。
ポルトガル人が言ったことが真実かどうかは不明ですが、ポルトガル側とすれば、商売敵のスペインに不利な情報を流したということですね。


死を覚悟するフランシスコ吉蔵 真田丸
こうして、秀吉はバテレン追放令の徹底を指示。
吉蔵も処刑されることになります。
吉蔵は可哀想でしたが、秀吉も積み荷が欲しかったからという理由では無かったのですね。
ただし、積み荷は最終的に返さなかったことは付け加えておきます。

【吉蔵の過去記事】
真田丸・第29回「異変」(8)吉蔵は実は実在の人物。今も祀られる偉い人なのです。


ポルトガル人
この時のポルトガル人の発言がどの程度真実だったのかは謎であります。
ただ、スペインという国が、各地を武力制圧していたのは事実です。


呂宋助左衛門 真田丸
ドラマでも出てきた呂宋助左衛門(るそんすけざえもん)が貿易していたルソン、つまり今のフィリピンもスペインに占領されていました。
ポルトガル人の言っていることは、なんの根拠もない話ではなかったのです。
そして、少なくとも秀吉たち日本側はそれを信じたのです。


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