真田丸・第31回「終焉」(4)遺言書偽造は本当にあったのか?他の4人の老衆は徳川家康対策だった

「これはいけませんなぁ」本多正信 真田丸
「これはいけませんなぁ」

石田三成に書かされた書面の内容が気に入らない本多正信。
秀吉亡き後の政治のやり方を書き記した起請文(契約書)でして、これによると何か決めるには、老衆(おとなしゅう)5人と奉行衆5人の合議が必要というもの。
これでは家康の好きなようには出来ませんからね。





花押 血判 起請文 真田丸
ちなみにこの書面に書いているのは花押(かおう)と言って、現代で言うサイン。
また、赤いものが見えていますが、これは判子を押しているのではなく、血判(けっぱん)です。
血判とは指に刀で傷を付け、血をしたたらせたもの。
つまりこれは血です。

【花押な関する過去記事】
真田丸・第四回「挑戦」(8)戦国武将にとっては、会見もまた戦い。徳川家康も絡んできて、真田昌幸大ピンチ。


遺言書を書かせる徳川家康 真田丸
起請文が邪魔だと考えた家康は、死ぬ間際の秀吉の元に訪れ、自分に都合のいい遺言書を書かせようとします。
もちろん、このあたりは架空のお話でしょう。
秀吉が多数の家康の家来だけと単独で会うことなどありえないですし、秀吉の家来も許さなかったでしょう。


「かえすがえすも秀頼のこと頼み申し候(そうろう)」 真田丸
「かえすがえすも秀頼のこと頼み申し候(そうろう)」

ただし、ドラマでは秀吉が勝手に書き足したこの文言は実際に残っている遺言書のもの。
ちなみに、ここに書かれている文章自体が史実のものではあります。
確かに五大老たちに秀頼のことを頼むと書いた遺言ではありますが、これをもって家康が有利になるとは思えません。
元々、政治の決め事を5人の老衆(おとなしゅう)、つまり五大老に任せるのは元々決まっている方針です。
石田三成たち五奉行はあくまで官僚として実務を行う立場ですしね。


石田三成 真田丸
おそらく、この遺言そのものも、石田三成あたりが書かせたものだと推測します。
この遺言書を書いた時点で、秀吉にまともな判断能力があったかどうか。
ここで肝心なことは、石田三成たち五奉行が、政治の決定権を持つかどうかではなく、徳川家康が勝手な振る舞いをするのを抑えることです。
だからこそ、徳川家康以外の大老は、領地の広さだけでなく、秀吉に対する忠実さなどで選ばれているのです。



※画像は大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」の前田利家
例えば、前田利家は秀吉の若い時からの同僚で義理堅いと評判の人物。
本来、老衆に入れるような大大名では無かったのですけども、秀吉との距離の近さを考えて、領地を増やし、官位も上げて、徳川家康の対抗馬として秀吉が育てたともいえる人。
当然、秀吉がもっとも期待した人物だったでしょう。
※画像は大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」の前田利家


※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」の毛利家
老衆のもう一人、毛利輝元は、秀吉とそれほど近しい間柄ではありません。
むしろ、秀吉が織田信長に仕えていた時は、秀吉が大将となって毛利家と戦争をしています。
織田信長が本能寺の変で死んだのも、この毛利家と戦っている最中でした。
信長の死を知った秀吉は、毛利家が信長の死を知らないことをいいことに、騙して和平を結びます。
こうして秀吉は、明智光秀を倒して、天下人への道を進む事になります。
後に毛利輝元は秀吉の嘘に気づくのですけども、秀吉を攻撃しませんでした。
秀吉が明智光秀と戦っている時に攻撃すれば挟み撃ちすることが出来、勝利はほぼ間違いのにもかかわらずです。
その後も毛利家は秀吉に好意的な態度で接しており、秀吉が天下を取れた理由の何割かは、毛利家との友好関係にあったでしょう。
それだけに、秀吉が信頼する大名の一人でした。
※画像は大河ドラマ「軍師官兵衛」の毛利家


降伏した上杉景勝 真田丸
上杉景勝はドラマでも律儀さがにじみ出るキャラですが、秀吉もそういったところを信頼したようですね。
また、ここまでの経緯でも、徳川家と友好的でないというのも評価されていたでしょう。


「ワシはいつ頃、向こうに渡れるのだ。一刻も早く戦に出たいのだが」宇喜多秀家 真田丸
そして宇喜多秀家。
彼は秀吉の養子のような立場で、家族として扱われています。
幼い頃から秀吉が面倒を見た経緯もあり、実質的に秀吉の一族として老衆に参加しているわけです。
このようにしてみると、この5人の老衆が、徳川家康をがんじがらめにするために決められた人事であることはよくわかると思います。


「秀頼のこと頼む」豊臣秀吉 真田丸
「秀頼のこと頼む」

最後に、ドラマでは遺言書の話ばかりが出てきて、秀吉はしつこいぐらいに「秀頼のこと頼む」と言っています。
これは、史実では何度も誓紙を差し出させていることからきているのだと思います。
誓紙とは誓いの言葉を書類にして提出したもの。
もちろん、言葉でも言っていたのでしょうけども、それでは安心出来ずに、書類にさせて、しつこいぐらいに何度も提出させています。
それではドラマでは伝わりにくいので、セリフにしたものと思われます。
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血判のやり方

当時の血判のやり方は、花押をしたためた後、指を小刀で切って血を花押の上に滴らせる、というものだったそうです。

ドラマの映像でも、そんな感じに映っていますね。

Re: 血判のやり方

> 当時の血判のやり方は、花押をしたためた後、指を小刀で切って血を花押の上に滴らせる、というものだったそうです。

拇印じゃなかったのですね。
本文も訂正しておきます。
ご指摘ありがとうございました。

> ドラマの映像でも、そんな感じに映っていますね。
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