真田丸・第38回「昌幸」(16)真田昌幸の対徳川戦略を地図で解説

「孫子(そんし)に倣(なら)って、ワシも書いてみた・・・」真田昌幸 真田丸
孫子(そんし)に倣(なら)って、ワシも書いてみた・・・」

流罪先での九度山の暮らしが10年も続き、真田昌幸も体調を崩し、臥せってしまっているようですね。
それでも最期まで闘志を失わない昌幸は「孫子に倣って」と言っております。





孫子
孫子(そんし)は中国の武将で春秋戦国時代の人。
紀元前500年頃の人物と言いますから、今から2500年近く昔です。
昌幸が生きていた時代から見ても2000年以上昔。
作戦を立てるのが上手な軍師として有名で、その作戦についてをまとめた書物を書いたと言われています。
ちなみに、その書物の名前も孫子。
孫子が孫子を書いたのです。



兵法奥義を書いた真田昌幸 真田丸
昌幸はこの孫子の書物同様に「ワシも書いてみた」わけですね。


兵法奥義 真田丸
タイトルは兵法奥義となっていますね。
兵法は「へいほう」とも「ひょうほう」とも読みます。
意味は作戦のこと。
剣術のことも兵法と言うことがありますが、昌幸は剣術の師範ではないので、ここは作戦のことで間違いないでしょう。
奥義は「学問・技芸・武芸などの最も奥深い大切な事柄」のこと。
実際にこういった書物を書いたかは謎ではありますが、筆まめではあったらしく、沢山の手紙が残っているとのことですので、ひょっとしたら信繁にこういった自著を渡した可能性はあるかも知れませんね。


「これより話すは、徳川に勝てるただひとつの道・・・」真田昌幸 真田丸
「これより話すは、徳川に勝てるただひとつの道・・・」

さて、前置きはこれぐらいにして、昌幸が語った対徳川作戦を見ていきましょう。


尾張から近江に退く 地図
「まず、手持ちの軍勢をもって、真っ先に尾張(おわり=愛知県)を制する。徳川が攻めてきたら頃合いを見て尾張を捨てる。一旦、近江(おうみ=滋賀県)まで退く」

昌幸の言っているのを地図にするとこんな感じです。
徳川の本拠地は関東ですので、尾張を制圧したとしたら、東の方から反撃に出てくるはず。
ですので、より西の近江に一旦退却しろと言っているわけですね。
ただし、尾張を制する前提となっている「手持ちの軍勢」がどこから湧いてくるのかは謎ではあります(汗)
九度山で蟄居中の昌幸・信繁に付いてきた家来は10数人程度と言われていますので、まずは軍勢そのものをどうにか生み出す必要があるわけで、むしろそこが重要な気がしないでもないです。
まあ、これは置いておきましょう。




信長の野望戦国立志伝 徳川義直
いっときでも尾張を抑えたと言うことが大事じゃ。これで日ノ本中の徳川に不満を持つ大名の心を掴む」

当時の尾張は、徳川家康の九男・徳川義直(よしなお)の領地となっています。
尾張をいっときでも抑えるということは、この義直に勝ったということ。
徳川家康の率いる本隊ではないとは言え、徳川軍に勝ったことになるので、徳川に不満を持つ大名を勇気づけることが出来ると昌幸は言っているのです。


「さらに瀬田と宇治の橋を落とし、敵の追撃を阻め」真田昌幸 真田丸
「さらに瀬田宇治の橋を落とし、敵の追撃を阻め」

瀬田は近江、宇治は京都で、それぞれ橋がありました。
それを破壊してしまえば、敵が追撃出来ないと言っているわけです。
もちろん、橋を壊しても、渡ろうと思えば渡れるわけですが、無理に渡れば、兵糧や武器弾薬が濡れて使い物にならない可能性があり、軍隊の移動を妨害するという意味では有効な手段には違いありません。


二条城を落とし、大阪城決戦を強いる 地図
「その間に二条城を焼き払う。そうなれば徳川勢は大阪に攻めかかるしか無い。それを大阪城で迎え討つのだ」

二条城は先程、豊臣秀頼と徳川家康が会見した城のこと。
ドラマでも徳川家康が「ワシが建て直したワシの城」と言っていましたが、徳川家の京都における拠点です。
大阪は豊臣家にとって、今や最後の砦。
その大阪と隣接している京都にある二条城は、徳川軍にとって最前線基地です。
それを瀬田・宇治の橋を破壊し(ピンクの☓)、真っ先に二条城を落としてしまえば、徳川軍は最前線基地を失うこととなるので、直接大阪城に攻撃を仕掛けるしか無くなります。


大阪城航空写真
大阪城は当時、最大の城。
多くの堀に囲まれて、鉄壁の防御を誇っていました。
豊臣家にとって、もっとも有利に戦える場所だったでしょう。
自分たちが有利な場所で戦うように敵を追い込むことこそ作戦というものです。


大阪城 真田丸
「戦は長引かせるだけ長引かせよ。その間に各地で徳川に対して反旗が上がる。反旗が上がれば、敵は大阪攻めだけに関わってはおられん。やがては退くしか無くなる」

関ヶ原の戦いはたった一日で終わってしまいましたが、大阪城に立て篭もれば、かなりの期間戦い抜くことが出来るでしょう。
そうして戦いを長引かせれば、徳川が不利と見て、徳川に「反旗を上げる」大名が出て来る可能性はあります。
大名たちは、徳川家が強いから屈服しているのであって、徳川家康に忠誠心があるとは言えないので、有り得る話ではあります。
言い換えれば、大阪城でどれだけ頑張っても、徳川家に反旗を上げる大名が出ないと、勝てないという風にもとれますし、そのとおりではあったでしょうけども。


「負ける気がせん」真田昌幸 真田丸
「負ける気がせん」

自信満々の真田昌幸。
最初の手勢をどうするのか?
大阪城で頑張ったとして、どれだけの大名が味方についてくれるのか?

かなり不確定要素の多い戦略ではあると思うのですが昌幸は勝算アリと見ているようですね。

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No title

「孫氏に倣って」
→孫子   
孫子の肖像画、孫氏で調べたの?

「孫氏が孫氏を書いた」
→孫武が孫子を書いた
孫子(書物)のこと、孫氏で調べたの?   

これでは、孫正義につがらないから、そこはカット。
まさか、平仮名やカタカナで繋げる事はしないでしょ?

Re: No title

> 「孫氏に倣って」
> →孫子   
> 孫子の肖像画、孫氏で調べたの?
>
> 「孫氏が孫氏を書いた」
> →孫武が孫子を書いた
> 孫子(書物)のこと、孫氏で調べたの?   
>
> これでは、孫正義につがらないから、そこはカット。
> まさか、平仮名やカタカナで繋げる事はしないでしょ?

おっしゃる通りです。
ご指摘ありがとうございました。
本文も修正いたしました。

> →孫武が孫子を書いた

ただし孫武が孫子ではないという説もありますし、孫武の尊称が孫子という考え方もあるので、孫子が孫子を書いたという表現は間違えていないと思いますので、この部分はこのままとしておきました。

孫子の兵法

「子」と言うのは古代中国では「先生」と言う意味で、「孫子の兵法」と言うのは「孫先生の戦いにおける作戦集」と言うような意味でしょうか。
今ではその両者の教えは別物との解釈がされていますが、戦国時代日本に伝わった時点では、三国志時代の魏の曹操が纏めた頃の内容のようですので「孫武」とその子孫と言われる「孫臏」の教えがごっちゃになった時代の時では無かったでしょうか。

私は中国の古代史「史記」に残る幼馴染に裏切られた軍師の復讐戦「馬陵の戦い」”龐涓死于此樹之下(龐涓この樹の下にて死せん)”の物語が心を打ちます。

事の真相がどうあれ「うんちくの知恵」はただの物知りで無く、今の自分にどう活かせるか、それが要かな思う凡人です、すみません。

Re: 孫子の兵法

> 「子」と言うのは古代中国では「先生」と言う意味で、「孫子の兵法」と言うのは「孫先生の戦いにおける作戦集」と言うような意味でしょうか。
> 今ではその両者の教えは別物との解釈がされていますが、戦国時代日本に伝わった時点では、三国志時代の魏の曹操が纏めた頃の内容のようですので「孫武」とその子孫と言われる「孫臏」の教えがごっちゃになった時代の時では無かったでしょうか。

孔子もそうですし、子をつけるのが尊称なんですよね。
日本人の感覚だと理解しにくいです。
曹操がまとめたという話も三国志に出てきていましたね。
孫子の兵法書は、そもそも原文が現代に伝わっていないようですし、誰が書いたのかも詳しく分かって無いですから、ゴッチャもゴッチャですね(笑)


> 事の真相がどうあれ「うんちくの知恵」はただの物知りで無く、今の自分にどう活かせるか、それが要かな思う凡人です、すみません。

おっしゃる通りですね。
まあ、このブログは「歴史に興味がない女性でもドラマとして大河ドラマを楽しめるため」という趣旨なのですけども、ほとんど女性の読者がいなさそうな気配ではあります(汗)

No title

どうも、名無しさんです.
証拠がありませんが.
早速の訂正,ご対応ありがとうございました.

>この部分はこのままとしておきました.
「このまま」とあるので,ここは直さないのかとちょっと驚きましたが、「孫武とはしなかった」ということですよね?「孫氏が孫氏」と書いてなければ,良いと思います.

おっしゃるとおり,孫武の件は諸説あるようですね.

Re: No title


> >この部分はこのままとしておきました.
> 「このまま」とあるので,ここは直さないのかとちょっと驚きましたが、「孫武とはしなかった」ということですよね?

そういうことです。
ご指摘ありがとうございます
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